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地方において企業の法律顧問を務める意義

地方において企業の法律顧問を務める意義

著者 / 那賀島八起

June 28,2023

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地方において企業の法律顧問を務める意義
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 埼玉県蓮田市に事務所を開設して数年経ちます。おかげさまで、蓮田市、白岡市、伊奈町など地域の方々に認知いただくようになりました。現在では個人の方からの御依頼だけでなく、企業等の法人からの御依頼も多数増えています。その結果、企業等の法律顧問を務めることも多くなりました。
 地方にある企業のほとんどは法務部を有しません。人件費等の負担が大きいですし、そもそも地方企業で法務部担当者の採用は困難だからです。その結果、経営者や番頭のような立ち位置の方が、経営判断という形で法務をしていることが多いといえます。
 とはいえ、企業経営にトラブルはつきものです。弁護士の視点が入らない独自の法務ではトラブルが生じやすく、トラブルになった際も適切な解決は遠のきます。企業としてトラブルを独自に解決しようとせず、「顧問弁護士に相談してから回答します」という対応ができれば、相手方から不利な条件や責任を押し付けられることは少なくなります。経営者が弁護士を頼り、弁護士も経営者と二人三脚でトラブル回避や解決をすることで企業を強くしていくことが、企業の法律顧問の意義といえます。
 また、地方で企業の法律顧問を務めていると、顧問先同士の物理的距離感や規模感が近いことに気づくことが多々あります。顧問先の事業モデルを理解している顧問弁護士(私)が、顧問先同士を紹介しあい、双方の事業にシナジーを生じさせることに成功したことも何度かありました。顧問弁護士をハブにして顧問先同士の結びつきが生じ、あらたな事業が地域に誕生することは、地方で法律顧問業務をする醍醐味だと感じます。
 私が企業の法律顧問をするうえで心掛けていることは2つあります。1つはレスポンスの早さです。トラブルは経営者の精神を蝕みます。弁護士のレスポンスが遅いと、トラブルも大きくなりますし、ストレスも増大します。法的トラブルには、スピーディな対応が不可欠ですので、私は顧問先企業の経営者と業務用のSNSでつながっています。緊急事態となればすぐに連絡をもらえる体制を整えています。
 もう1つは、気兼ねなく相談してもらうということです。弁護士に相談するほどでもないと感じることも相談してもらうことで、トラブル発生前に対処できることは多くなります。その趣旨で、企業の法的相談以外の個人的な相談もOKにしています。社長親族の個人的な相続問題、従業員個人の金銭貸借問題など、企業以外の個人的な相談も顧問契約内で対応しています。
 顧問弁護士は企業トラブルに優先的に対応する存在です。企業が一定の規模以上になれば顧問弁護士選びは必須となります。地方企業においては、事業モデルを理解し、社長の人柄等を理解して尊重してくれる弁護士を選ぶことが大切です。最善の選択をしていただくべく、顧問弁護士選びに迷ったらお気軽にご一報ください。