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弁護士という職業の中での時間の流れ          

弁護士という職業の中での時間の流れ          

著者 / 繁田達成

January 26,2023

私は、弁護士登録をして5年目となりました。

私たちの主たる業務の一つである「裁判」という手続きは、1カ月~2カ月毎に期日が設定され、このスパンを繰り返すことによって進んでいきます。「1カ月~2カ月」と聞いたとき、一般の方は、「次回の期日まで長すぎる」「時間がかかり過ぎではないか」と思うでしょう。
私たちは、この間に、主張や証拠をまとめたり、相手方の主張への反論を準備します。期日間の動きを更に細かく分解すると、期日終了後にクライアントへ期日報告を行い、相手方の主張の分析と検討を行い、こちらの主張・反論を法的に整理し、書籍・論文・判例をあたり、事実関係の確認を行い、証拠の存在の確認を行い、クライアントと面談を実施し、証拠原本を受領し、書面の作成と証拠の取捨選択を行い、ボスと共同で担当する事件については、ボスの決済を得て、クライアントへの最終確認を行って、ようやく書面を裁判所に提出します。
私が常時担当している裁判は5~10件程度ですが、1カ月~2カ月という時間はあっという間に過ぎていきます。

また、クライアントからメールを受信して返信するのに、数日かかってしまうこともあります。なぜなら、弁護士は「文章」の作成を業務としており、LINEやチャットの1行返信とは違うからです。

ところで、即時抗告という裁判所の決定に対して不服の申立てをする手続きがあります。この「即時」とは、民事訴訟法では2週間とされています。一般の方からすれば、「2週間って即時じゃないよね?」と感じるかもしれません。しかし、私たちは、この間に、法律と事実関係に照らして不服申立ての理由を精査し、書面を作成し、クライアントの最終確認を経たうえで、裁判所に提出しなければなりません。

このように、法曹の世界では、時間の捉え方が一般の方とは異なることがありますが、それは私たちがその間に行うべき膨大な作業の存在が影響していると思われます。