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理想とする弁護士像

理想とする弁護士像

著者 / 山室裕幸

January 26,2023

どのような弁護士を理想とするのか?

私自身、その答えは未だ見つかっておらず、多くの弁護士が自問自答し続けている問題だと思います。

ただ、これまでに多くの弁護士や事件と関わり合う中で、良くも悪くも様々な事を学ばせていただき、徐々に「理想とする弁護士像」が見えてきた気がしています。

そこで、私が理想とする弁護士像を語ろうと思いますが、身なり、話し方、依頼者との距離感、取扱分野などの様々な面で理想がありますし、それらの全てを挙げるとキリがないので、今回は「事件との向き合い方」という面において、私が理想とする弁護士像を語らせていただこうと思います。

最初に結論を言うと、それは『当事者意識をもたない弁護士』です。

一つの事実であっても、それは立場によって全く違う意味を持ちますし、人間は自分が見たいように物事を見て、自分が信じたいように物事を信じるものです。また、自分に不都合な出来事を悪意なく隠してしまうこともありますし、感情が先走ってしまい、合理的な判断をできないこともあります。

そして、弁護士が依頼者の発言等を盲目的に信じ、依頼者と同じ気持ちと視点で弁護をした場合、途中で相手方から予想外の証拠が提出されたり、感情を優先するあまり最適な和解のタイミングを見失ったりして、結果として、依頼者に不利益を負わせてしまうことがあり得ます。実際、これまでの経験の中で、相手方がそのような状況に陥っている場面を見たことが何度もあります。

そのため、私は、当事者と同じ視点で事件に向き合うのではなく、虫の目(物事の詳細を分析する視点)、鳥の目(物事を俯瞰的に捉える視点)、魚の目(物事の流れを読みとる視点)という他覚的な視点で事件を観察し、あらゆる事態に対処できる準備を整えることこそが、最終的には依頼者の利益に繋がるものと信じています。

以上のことから、事件との向き合い方という面において、私は、「当事者意識をもたない弁護士」、換言すれば「依頼者とは異なる他覚的な視点で事件を見つめることで、依頼者の利益を最大化できる弁護士」を理想とするのです。